※本記事はテクニカル分析の仕組みを初心者向けに解説するものです。特定の銘柄や売買タイミングを推奨するものではありません。
株価チャートを見ると、ローソク足や移動平均線以外にも、さまざまな線や数値が表示されています。
これらは、価格の方向、勢い、変動の大きさ、売買が集中した価格帯などを確認するためのテクニカル指標です。
複数の指標を理解すると、チャートを見るときの判断材料は増えます。
ただし、テクニカル分析は将来の株価を正確に予測するものではありません。同じ指標を見ても、相場環境や時間軸によって意味が変わります。
この記事では、Xで解説してきた株用語337〜343をまとめて、テクニカル分析で使われる7つの指標とチャートパターンを分かりやすく整理します。
この記事で分かること
- ボリンジャーバンドで値動きの大きさを見る方法
- RSIで買われすぎ・売られすぎを確認する方法
- MACDでトレンドと勢いを見る方法
- フィボナッチで反発・反落の候補を探す方法
- 一目均衡表を構成する5本の線
- 出来高プロファイルと通常の出来高の違い
- ヘッドアンドショルダーの完成条件
※全体を通して読む必要はありません。気になる項目から読んでいただけます。
テクニカル分析とは
テクニカル分析とは、過去の価格や出来高などの市場データを使って、現在のトレンドや投資家心理を読み取ろうとする分析方法です。
企業の業績、財務、事業内容などを調べるファンダメンタルズ分析とは、見る対象が異なります。
| 分析方法 | 主に見るもの | 主な目的 |
|---|---|---|
| テクニカル分析 | 価格・出来高・チャート | トレンドや売買タイミングの判断材料 |
| ファンダメンタルズ分析 | 業績・財務・事業・経済環境 | 企業や資産の価値を考える |
どちらか一方が必ず優れているわけではありません。
企業の内容を確認したうえで、チャートを売買判断の補助に使う方法もあります。
ポイント
テクニカル分析は、将来を当てるための魔法ではありません。現在の相場状況を整理し、売買ルールを決めるための判断材料です。
337|ボリンジャーバンド
値動きの大きさを帯で表す
ボリンジャーバンドとは、移動平均線を中心に、価格のばらつきを表す標準偏差を使って上下のバンドを表示する指標です。
一般的には、20期間の単純移動平均線と、その上下に標準偏差の2倍を加減した線が使われます。
- 中央線:20期間の単純移動平均線
- 上側バンド:移動平均線+標準偏差×2
- 下側バンド:移動平均線-標準偏差×2
期間や標準偏差の倍率は、証券会社のチャートや利用者の設定によって変更できます。
スクイーズとエクスパンション
バンドの幅が狭くなる状態を「スクイーズ」といいます。
値動きが小さくなっている状態で、その後に価格が大きく動く可能性を確認する材料になります。
反対に、バンドの幅が広がる状態を「エクスパンション」といい、値動きが大きくなっていることを表します。
バンドウォーク
強い上昇トレンドでは、価格が上側バンドに沿って上昇することがあります。
強い下降トレンドでは、価格が下側バンドに沿って下落することがあります。
この状態をバンドウォークと呼びます。
そのため、上側バンドへ触れたら必ず売り、下側バンドへ触れたら必ず買い、という判断はできません。
注意点
価格がバンド内に収まる確率を固定的に考えるのは危険です。実際の株価は正規分布どおりに動くとは限らず、強いトレンドではバンドの外側を動き続けることがあります。
338|RSI(相対力指数)
値動きの勢いを0〜100で表す
RSIは「Relative Strength Index」の略で、一定期間の値上がり幅と値下がり幅を比べ、値動きの勢いを0〜100の数値で表す指標です。
一般的には14期間で計算されます。
基本的な計算式は次のとおりです。
RSI=100-{100÷(1+平均上昇幅÷平均下落幅)}
70と30が一般的な目安
- RSIが70以上:買われすぎと判断されることがある
- RSIが30以下:売られすぎと判断されることがある
ただし、70を超えたからすぐ下がる、30を下回ったからすぐ上がるという意味ではありません。
強い上昇相場では70以上の状態が続き、強い下降相場では30以下の状態が続くことがあります。
ダイバージェンス
株価とRSIが異なる方向へ動く現象を、ダイバージェンスといいます。
例えば、株価が前回の高値を更新しているのに、RSIが前回の高値を更新していない場合、上昇の勢いが弱まっている可能性があります。
反対に、株価が安値を更新しているのにRSIが切り上がっている場合、下落の勢いが弱まっている可能性があります。
ダイバージェンスが発生しても、必ず反転するわけではありません。価格そのものの動きも合わせて確認します。
339|MACD(移動平均収束拡散)
2本の移動平均線から勢いを見る
MACDは「Moving Average Convergence Divergence」の略で、期間の異なる2本の指数平滑移動平均線(EMA)の差から、トレンドの方向や勢いを確認する指標です。
一般的な初期設定は次のとおりです。
- 短期EMA:12期間
- 長期EMA:26期間
- シグナル:MACDの9期間EMA
MACDラインは、短期EMAから長期EMAを差し引いて計算します。
MACD=12期間EMA-26期間EMA
ゴールデンクロスとデッドクロス
- MACDがシグナルを下から上へ抜く:上向きの勢いを示すことがある
- MACDがシグナルを上から下へ抜く:下向きの勢いを示すことがある
MACDがゼロラインより上にあるか、下にあるかもトレンドを見る材料になります。
- ゼロラインより上:短期EMAが長期EMAを上回っている
- ゼロラインより下:短期EMAが長期EMAを下回っている
ヒストグラム
MACDラインとシグナルラインの差を棒グラフで表したものが、MACDヒストグラムです。
棒が大きくなれば2本の差が広がり、棒が小さくなれば差が縮まっていることを表します。
MACDは移動平均線を使うため、実際の価格変化よりシグナルが遅れる場合があります。
また、方向感のない相場では交差を繰り返し、売買シグナルが機能しにくくなることがあります。
340|フィボナッチリトレースメント
押し目や戻りの候補を探す
フィボナッチリトレースメントとは、上昇や下落の途中で、価格がどこまで一時的に戻る可能性があるかを確認するための描画ツールです。
チャート上の高値と安値を結び、一定の比率に対応する価格へ水平線を表示します。
代表的な水準は次のとおりです。
- 23.6%
- 38.2%
- 50.0%
- 61.8%
- 78.6%
50%はフィボナッチ数列から直接導かれる比率ではありませんが、半値戻しとしてテクニカル分析で広く使われています。
上昇相場での使い方
上昇した安値から高値へ線を引き、価格が調整した場合の押し目候補を確認します。
38.2%や61.8%付近で下げ止まれば、反発の候補として注目されることがあります。
下降相場での使い方
下落した高値から安値へ線を引き、価格が一時的に上昇した場合の戻り売り候補を確認します。
ただし、どの高値と安値を選ぶかによって結果が変わります。
フィボナッチの水準だけで売買せず、移動平均線、出来高、過去の高値・安値などと重なるかを確認することが大切です。
341|一目均衡表
日本で生まれたテクニカル指標
一目均衡表は、相場の方向、勢い、支持・抵抗、時間的なバランスを一つのチャートで確認するための指標です。
主に5本の線で構成されています。
| 線 | 一般的な計算方法 | 主な見方 |
|---|---|---|
| 転換線 | 過去9期間の最高値と最安値の平均 | 短期的な方向 |
| 基準線 | 過去26期間の最高値と最安値の平均 | 中期的な方向 |
| 先行スパン1 | 転換線と基準線の平均を26期間先へ表示 | 雲を構成する |
| 先行スパン2 | 過去52期間の最高値と最安値の平均を26期間先へ表示 | 雲を構成する |
| 遅行スパン | 現在の終値を26期間前へ表示 | 過去の価格と現在を比較する |
雲の見方
先行スパン1と先行スパン2の間を「雲」と呼びます。
- 価格が雲の上:上昇傾向と判断されることがある
- 価格が雲の下:下降傾向と判断されることがある
- 価格が雲の中:方向が定まりにくい状態
雲は将来の支持帯や抵抗帯の候補としても使われます。
ただし、一目均衡表は情報量が多く、線を一つだけ見て判断すると全体像を誤る可能性があります。
342|出来高プロファイル
価格帯ごとの出来高を表示する
一般的な出来高は、日付や時間ごとの売買量を縦棒で表示します。
出来高プロファイルは、どの価格帯でどれだけ売買されたかを、チャートの横方向に表示するものです。
売買が多い価格帯と少ない価格帯を確認し、市場参加者が意識している価格を探します。
主な見方
- POC:対象期間で最も出来高が多かった価格帯
- 高出来高帯:売買が多く、価格が滞在しやすかった範囲
- 低出来高帯:売買が少なく、価格が速く通過しやすかった範囲
- バリューエリア:出来高の一定割合が集中した範囲
バリューエリアは、全出来高の約70%を含む範囲として設定されることがありますが、表示方法や計算条件はチャートサービスによって異なります。
支持線・抵抗線としての利用
売買が多かった価格帯では、多くの投資家が含み益や含み損を抱えている可能性があります。
そのため、再び同じ価格へ近づいたときに、買いや売りが増える場合があります。
ただし、過去に出来高が多かった価格が、将来も必ず支持線や抵抗線になるわけではありません。
343|ヘッドアンドショルダー
上昇トレンドの反転を示す形
ヘッドアンドショルダーは、3つの山から構成されるチャートパターンです。
- 左肩:最初の高値
- 頭:左肩より高い中央の高値
- 右肩:頭より低い3つ目の高値
3つの山の間にある安値を結んだ線を「ネックライン」と呼びます。
右肩が形成されただけではパターンが完成したとはいえません。
一般的には、価格がネックラインを下回ることで、上昇トレンドから下降トレンドへの転換候補として確認されます。
目標価格の考え方
頭の高値からネックラインまでの値幅を測り、その値幅をネックラインから下方向へ当てはめて、下落目標の目安とする方法があります。
ただし、目標価格はあくまで目安であり、その価格まで必ず下落するわけではありません。
逆ヘッドアンドショルダー
ヘッドアンドショルダーを上下反対にした形を、逆ヘッドアンドショルダーと呼びます。
3つの谷を形成し、中央の谷が最も深くなります。
価格がネックラインを上回ると、下降トレンドから上昇トレンドへの転換候補として注目されます。
注意点
チャートの途中では、ヘッドアンドショルダーに見えても完成しないことがあります。形だけで先回りせず、ネックラインを抜けたか、出来高を伴っているかなどを確認します。
7つの指標を比較
| 指標 | 主に確認するもの | 主な注意点 |
|---|---|---|
| ボリンジャーバンド | 値動きの大きさ・トレンド | バンド接触だけで逆張りしない |
| RSI | 値動きの勢い | 強いトレンドでは高低が続く |
| MACD | トレンドと勢いの変化 | シグナルが遅れる場合がある |
| フィボナッチ | 押し目・戻りの候補 | 高値と安値の選び方で変わる |
| 一目均衡表 | 方向・勢い・支持抵抗 | 情報量が多く複合的な確認が必要 |
| 出来高プロファイル | 売買が集中した価格帯 | 計算条件がサービスごとに異なる |
| ヘッドアンドショルダー | トレンド転換の候補 | ネックラインを抜けるまで未完成 |
指標を増やしすぎない
7つの指標をすべて同時に表示すると、チャートが見づらくなり、判断に迷いやすくなります。
また、似た性質の指標を複数使っても、同じ情報を重ねて確認しているだけになる場合があります。
例えば、次のように役割を分けると整理しやすくなります。
- トレンド:MACDまたは一目均衡表
- 勢い:RSI
- 値動きの大きさ:ボリンジャーバンド
- 価格帯:フィボナッチまたは出来高プロファイル
- チャートの形:ヘッドアンドショルダー
最初は2〜3種類に絞り、どの場面で機能し、どの場面で機能しにくいかを確認する方が実践的です。
複数の根拠が重なる場所を見る
一つの指標だけで判断するより、異なる根拠が同じ価格帯で重なるかを確認します。
例えば、
- フィボナッチ61.8%付近
- 過去の高出来高帯
- 一目均衡表の雲
- 過去の安値
などが近い価格に集まっていれば、多くの市場参加者が意識する可能性があります。
それでも必ず反発するわけではないため、予想が外れた場合の対応も先に決めておくことが大切です。
長期投資にもテクニカル分析は必要?
新NISAで投資信託を毎月積み立てるような長期投資では、売買タイミングを細かく判断する必要はありません。
相場の上下にかかわらず、決めた金額を継続して積み立てることが基本です。
一方で、テクニカル分析を学ぶことで、
- 相場の値動きを冷静に観察する
- 短期的な過熱感を理解する
- 個別株を追加購入するときの参考にする
- 感情ではなくルールで判断する
といった使い方はできます。
50代の長期投資で大切なこと
テクニカル分析を学んでも、相場を当てにいく必要はありません。生活防衛資金、分散、積立、長期保有という基本方針を優先し、チャートは補助的な判断材料として使いましょう。
よくある質問
テクニカル分析だけで利益を出せますか?
テクニカル分析だけで継続的に利益を出せるとは限りません。
指標が機能しない相場や、予想外のニュースで価格が急変することもあります。資金管理や損失への備えも必要です。
どの指標が一番正確ですか?
すべての相場で最も正確な指標はありません。
上昇・下降トレンド、横ばい相場、値動きの大きさなどによって、機能しやすい指標が変わります。
RSIが30以下なら買ってよいですか?
RSIが30以下でも、下降トレンドが続けば株価はさらに下がる可能性があります。
RSIだけで判断せず、価格の下げ止まり、出来高、移動平均線なども確認します。
ボリンジャーバンドの上側へ触れたら売りですか?
必ず売りではありません。
強い上昇トレンドでは、価格が上側バンドに沿って上昇を続ける場合があります。
一目均衡表の雲を上抜けたら上昇しますか?
上昇の判断材料にはなりますが、その後に再び雲の中や下へ戻ることもあります。
出来高、基準線、遅行スパンなども合わせて確認する必要があります。
長期の積立投資でも毎日チャートを見るべきですか?
毎日見る必要はありません。
チャートを頻繁に見ることで不安になり、積立を中断したり衝動的に売買したりするなら、見ない方が長期投資を続けやすい場合もあります。
まとめ|テクニカル指標は組み合わせと使い分けが大切
今回の株用語337〜343では、テクニカル分析の応用指標を確認しました。
- 337|ボリンジャーバンド
- 338|RSI(相対力指数)
- 339|MACD(移動平均収束拡散)
- 340|フィボナッチリトレースメント
- 341|一目均衡表
- 342|出来高プロファイル
- 343|ヘッドアンドショルダー
それぞれの指標には役割があります。
- トレンドを見る
- 値動きの勢いを見る
- 価格変動の大きさを見る
- 意識されやすい価格帯を見る
- トレンド転換の形を見る
大切なのは、指標の数を増やすことではありません。
何を確認するために表示しているのかを理解し、異なる種類の根拠を組み合わせることです。
また、どの指標にもだましや遅れがあります。
テクニカル分析だけで相場を予測しようとせず、企業分析、分散投資、資金管理、長期的な運用方針と組み合わせて使いましょう。
チャートより先に、長期投資の基本を整えましょう
テクニカル分析は売買判断の補助になりますが、50代の資産形成では、家計・生活防衛資金・分散・積立を優先することが大切です。
- 50代からの投資ロードマップ|NISA・投信・高配当株の始め方まとめ
- 新NISAで「結局どうすればいい?」と迷う50代へ|私が選んだ1つの結論
- 【株用語㉚】老後資金設計×投資編まとめ|老後資金の出口戦略を理解する
参考資料
免責事項
本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄やテクニカル指標による売買を推奨するものではありません。テクニカル分析による予測や売買シグナルは、将来の価格や利益を保証するものではありません。投資には元本割れの可能性があります。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。
👤 この記事を書いた人
よよみり|50代・宅建士・FP2級の現役サラリーマン
不動産業界32年、新NISA月10万円積立中。
資産形成・副業・健康習慣を等身大で実践しています。
このブログでは、50代からでも遅くない「老後資金づくり」と「ムリしないセミリタイア準備」をテーマに、 実体験ベースでまとめています。 → ブログトップページはこちら


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