株式市場では、ときどき事前には予想しにくい出来事によって、株価が短期間で大きく動くことがあります。戦争や紛争、金融危機、感染症の拡大などが代表的です。
こうした場面では、「何を買えば助かるのか」と考えたくなります。しかし、実際にはショックが起きた後の値動きを正確に予測することは難しく、焦って売買することでかえって損失を広げてしまう場合もあります。
私自身も、長期の資産形成では「予測できないことが起きる前提」で考えることを大切にしています。相場が大きく下がったときに慌てて売らなくて済むよう、生活資金と投資資金を分け、無理のない範囲で続けることを優先しています。
今回は株用語シリーズ第55回として、地政学リスク・ブラックスワン・安全資産・テールリスク・ショック相場・戦争や紛争・パンデミックという7つのテーマから、予測できないリスクとどう向き合うかを整理します。
この記事で分かること
- 地政学リスクが市場へ影響する仕組み
- ブラックスワンとテールリスクの違い
- 「安全資産」と呼ばれる資産の考え方
- ショック相場で焦って売買しないための考え方
- 戦争・紛争・パンデミックと市場変動の関係
379|地政学リスク
定義:国や地域の政治・軍事・外交上の緊張や対立によって、経済や金融市場へ悪影響が及ぶ可能性のことです。
ポイント
- 戦争や紛争、制裁、外交関係の悪化などによって、株式・為替・商品価格などが大きく動く場合があります。
- 原油や天然ガスなどの供給に関わる地域で問題が起きると、エネルギー価格を通じて幅広い企業のコストへ影響することがあります。
- 企業が海外で事業を行っている場合、現地の政治情勢や物流の混乱が業績に影響するケースもあります。
- 地政学リスクそのものだけでなく、市場参加者がどの程度そのリスクを織り込んでいるかによっても値動きは変わります。
注意点
- 大きなニュースが出たからといって、必ず株価が下がり続けるとは限りません。
- 市場がすでに悪材料を織り込んでいる場合、ニュース発表後に逆方向へ動くこともあります。
- 「有事だからこの資産が上がる」と単純に決めつけず、複数の要因を見ることが大切です。
380|ブラックスワンイベント
定義:それまでの常識や予想の範囲では起こりにくいと考えられていた出来事が起き、社会や金融市場へ非常に大きな影響を与える現象を表す言葉です。発生後には「予測できたはずだ」と説明されやすい特徴もあります。
ポイント
- 発生確率が低いと考えられていた出来事でも、実際に起きると金融市場や経済へ大きな影響を与えることがあります。
- 起きた後には「予測できたはず」と説明されることがありますが、事前に時期や規模を正確に当てるのは難しいものです。
- ブラックスワンを当てることより、予想外の出来事が起きても耐えられる資産設計をしておく方が現実的です。
- 分散や生活防衛資金など、平常時に行う準備が重要になります。
注意点
- 「次のブラックスワン」を予想して売買を繰り返すと、長期投資の方針が崩れることがあります。
- 悲観的な予測だけを理由に資産を現金へ極端に偏らせると、長期の資産形成で想定していた運用方針とずれる場合があります。
- 予測することと備えることは別と考えることが大切です。
381|安全資産への逃避
定義:市場の不安が高まったときに、投資家が値動きの大きい資産から、比較的安全と考えられる資産へ資金を移す動きのことです。
ポイント
- 市場が不安定になると、現金や信用力の高い国の債券、金などへ資金が移ることがあります。
- こうした動きは「リスクオフ」と呼ばれることもあります。
- 安全資産と呼ばれる資産でも価格が変動することはあり、元本が保証されているとは限りません。
- どの資産が選ばれるかは、その時の金利・為替・信用環境などによって変わります。
注意点
- 「安全資産だから必ず上がる」とは限りません。
- 「安全資産」は一律の正式な分類ではありません。国債は金利変動、金は価格変動や為替変動の影響を受けるなど、それぞれ異なるリスクがあります。
- ショックが起きてから高値で安全資産を買うと、その後の反落によって損失が出る場合があります。
- 相場急変時に動くのではなく、平常時から資産全体のバランスを考えることが重要です。
382|テールリスク
定義:発生する確率は低いと考えられていても、実際に起こると大きな損失につながる可能性のあるリスクです。
ポイント
- 通常の値動きから大きく外れた出来事によって、短期間で大きな損失が発生する場合があります。
- ブラックスワンと似ていますが、テールリスクは、起きる確率は低いものの大きな損失につながる極端な値動きや事象を広く指す考え方です。ブラックスワンのように予測が極めて難しい出来事も含まれますが、あらかじめ一定のリスクとして想定される場合もあります。
- 一つの資産や地域へ集中していると、テールリスクが起きたときの影響が大きくなる場合があります。
- 分散や余裕資金の確保によって、影響を抑える考え方があります。
注意点
- 低確率だからといって「起きない」と考えることはできません。
- 一方で、すべての極端なリスクへ備えようとすると、投資そのものができなくなる場合があります。
- 自分が耐えられない損失を避けることを優先して考えることが大切です。
383|ショック相場の対処法
定義:予想外の出来事によって株価などが急落・急変したときに、投資家がどのように行動するかという考え方です。
ポイント
- まず確認したいのは、自分の生活資金に問題がないかどうかです。
- 長期投資を前提にしている場合、相場が下がったことだけを理由に売却する必要があるとは限りません。
- 積立投資では、価格が下がったときにも同じ金額を積み立てることで、より多くの口数を買える場合があります。
- 事前に「どのような場合に売るか」を決めておくと、急落時の感情的な判断を減らしやすくなります。
注意点
- 下落局面で怖くなり、すべてを売却すると、その後の回復局面へ参加できなくなる場合があります。
- 反対に、「暴落は買い場」と決めつけて生活資金まで投資へ回すことも避けたいところです。
- 相場急変時ほど、当初の投資目的や家計状況へ戻って考えることが重要です。
384|戦争・紛争と市場
定義:戦争や武力衝突、地域紛争などが企業活動や金融市場へ与える影響を考えるテーマです。
ポイント
- 戦争や紛争が起きると、エネルギー・食料・物流などへ影響が及び、物価や企業コストが変化する場合があります。
- 関係する国や地域へ売上・生産拠点を持つ企業では、業績への影響が大きくなることがあります。
- 為替や資源価格が大きく動き、企業によって追い風にも逆風にもなる場合があります。
- 市場は戦争そのものだけでなく、その期間や経済への影響を予想しながら動きます。
注意点
- 戦争が起きたからといって、株式市場全体が同じ方向へ動き続けるとは限りません。
- 特定の業種が上がると予想して短期売買することは、長期投資とは別の判断になります。
- 重大なニュースほど感情が動きやすいため、投資判断とニュースへの感情を分けて考えることが大切です。
385|パンデミックと市場変動
定義:感染症が広い地域へ拡大したときに、人の移動や消費、企業活動などを通じて金融市場へ影響が及ぶことです。
ポイント
- 人の移動や店舗営業などが制限されると、観光・外食・交通などの業界へ大きな影響が出る場合があります。
- 一方で、医療・通信・デジタルサービスなど、一部の分野では需要が増えることもあります。
- 感染拡大そのものだけでなく、政府・中央銀行の対応や企業の適応によっても市場の動きは変わります。
- 同じショックでも、業界や企業によって影響が大きく異なる場合があります。
注意点
- 過去のパンデミック時と同じ値動きが、次回も繰り返されるとは限りません。
- 一時的に需要が伸びた企業でも、その状態が長く続くとは限りません。
- 過去の経験を参考にしつつ、「次も同じ」と決めつけないことが大切です。
まとめ|予測するより、耐えられる準備をする
今回取り上げた7つを振り返ります。
- 379|地政学リスク:政治・軍事・外交の変化が市場へ影響する可能性
- 380|ブラックスワンイベント:予想外の出来事が大きな影響を与える
- 381|安全資産への逃避:不安が高まると比較的安全とされる資産へ資金が移ることがある
- 382|テールリスク:低確率でも起きれば大きな損失につながるリスク
- 383|ショック相場の対処法:感情よりも投資目的と家計を確認する
- 384|戦争・紛争と市場:資源・物流・企業活動などを通じて影響が広がる
- 385|パンデミックと市場変動:企業や業界によって影響の大きさが異なる
地政学リスクやブラックスワンの難しいところは、いつ何が起きるかを事前に正確に予測できないことです。
だからこそ、私は「次の暴落を当てる」ことより、何か起きても投資を続けられる状態を作っておく方が大切だと考えています。
生活防衛資金を確保する、投資先を分散する、生活に必要なお金まで投資しない。こうした地味な準備こそ、予測できない相場に対する現実的な資産防衛につながると思います。
ただし、分散投資も損失を完全になくす方法ではありません。世界的なショックが起きたときには、複数の資産や地域が同時に下落することもあります。それでも、一つの資産や国へ集中するリスクを抑える考え方として、分散には意味があると考えています。
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免責事項
本記事は投資や資産防衛に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品や資産の購入・売却を推奨するものではありません。
地政学リスク、戦争、感染症などによる金融市場への影響は、その時点の経済状況や市場環境によって異なります。過去と同じ値動きが将来も再現されるとは限りません。
実際に投資を行う場合は、ご自身の資産状況、投資目的、リスク許容度などを踏まえ、最新の情報を確認したうえで判断してください。
👤 この記事を書いた人
よよみり|50代・宅建士・FP2級の現役サラリーマン
不動産業界32年、新NISA月10万円積立中。
資産形成・副業・健康習慣を等身大で実践しています。
このブログでは、50代からでも遅くない「老後資金づくり」と「ムリしないセミリタイア準備」をテーマに、 実体験ベースでまとめています。 → ブログトップページはこちら


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