決算書を見ていると、
「利益は出ているのに、なぜか不安…」と感じる会社があります。
その違和感の正体を見抜くカギが、キャッシュフロー(CF)です。
利益は操作できても、お金の流れはごまかしにくい。
この記事では、Xで解説してきた株用語176〜182をまとめて、
キャッシュフロー計算書の読み方と、企業の実力を見抜く視点を整理します。
176|営業CF(キャッシュフロー)
■ 営業CFとは
営業CFは、
本業でどれだけ現金を生み出しているかを示します。
商品やサービスを売って、
実際に手元に残ったお金がどれくらいあるか、という視点です。
💡 不動産で例えると:営業CFは、賃貸経営でいう「家賃収入から諸経費を引いた手残りのキャッシュ」のようなものです。満室でも、管理費や修繕費で現金が残らなければ意味がありません。株式投資も同じです。
■ 営業CFの見方
- 営業CFが安定してプラス → 本業が健全
- 営業CFがマイナス → ビジネスモデルに注意
長期投資では最重要のCFと言っても過言ではありません。
■ 具体例
例えば、以下のような会社があった場合:
- A社:純利益10億円、営業CF12億円
- B社:純利益10億円、営業CF3億円
どちらも利益は同じですが、
A社の方が「お金が残りやすい」ビジネスです。
B社は、利益は出ていても現金が残っていない可能性があります。
177|投資CF
■ 投資CFとは
投資CFは、
将来のためにどれだけお金を使っているかを表します。
設備投資・研究開発・M&Aなどが主な中身です。
■ 投資CFの見方
- マイナス → 成長投資をしている(悪くない)
- プラス → 資産売却中心(要注意な場合も)
重要なのは、
営業CFの範囲内で投資できているかです。
■ 具体例
例えば、以下のような会社があった場合:
- C社:営業CF10億円、投資CF−8億円
- D社:営業CF10億円、投資CF−15億円
C社は営業CFの範囲内で投資しているため健全。
D社は営業CFを超える投資をしているため、借入や資産売却で補っている可能性があります。
178|財務CF
■ 財務CFとは
財務CFは、
借金・返済・配当などの資金調達と返済を示します。
- 借入 → プラス
- 返済・配当 → マイナス
■ 財務CFの見方
財務CFだけを見て、
「マイナス=悪い」と判断するのは間違いです。
営業CFが安定していて、財務CFがマイナス
→ 健全に返済・株主還元している可能性があります。
■ 具体例
例えば、以下のような会社があった場合:
- E社:営業CF10億円、財務CF−5億円(借入返済+配当)
- F社:営業CF2億円、財務CF+8億円(借入増加)
E社は健全に返済・配当している。
F社は営業CFが弱く、借入で補っている可能性があります。
179|キャッシュフローマージン
■ キャッシュフローマージンとは
キャッシュフローマージンは、
売上に対して、どれだけ現金が残っているかを見る指標です。
計算式はシンプルです。
キャッシュフローマージン = 営業CF ÷ 売上高 × 100
■ キャッシュフローマージンの見方
- 高い → お金が残りやすいビジネス
- 低い → 利益が出ても現金が残りにくい
業種比較に向いた指標です。
■ 具体例
例えば、以下のような会社があった場合:
- G社:売上100億円、営業CF15億円 → CFマージン15%
- H社:売上100億円、営業CF5億円 → CFマージン5%
G社の方がお金が残りやすいビジネスです。
180|営業CFと純利益の比較
■ 営業CFと純利益の関係
営業CFと純利益の関係を見ると、
利益の「質」がわかります。
- 営業CF ≧ 純利益 → 健全
- 営業CF < 純利益 → 利益が帳簿上だけの可能性
毎年、
利益は出ているのに営業CFが弱い会社は要注意です。
長期投資では、
「利益」より「現金」を重視しましょう。
■ 具体例
例えば、以下のような会社があった場合:
- I社:純利益10億円、営業CF12億円
- J社:純利益10億円、営業CF3億円
I社は利益が現金として残っている健全な会社。
J社は利益が帳簿上だけの可能性があります。
181|CF計算書の見方
■ CF計算書の基本
キャッシュフロー計算書は、
3つをセットで見るのが基本です。
- 営業CF:稼ぐ力
- 投資CF:成長への使い道
- 財務CF:お金の調達・返済
■ おすすめの読み方
おすすめの読み方は:
- ① 営業CFが安定してプラスか
- ② 投資CFが将来につながっているか
- ③ 財務CFに無理がないか
この順番で見るだけで、
企業の姿がかなり立体的に見えてきます。
■ こんな企業は要注意!CFパターン比較表
| 営業CF | 投資CF | 財務CF | 企業の状況 |
|---|---|---|---|
| プラス | マイナス | マイナス | 超健全! 本業で稼ぎ、投資し、借金も返している |
| プラス | マイナス | プラス | 攻め! 稼いだお金+借入で大きく勝負中 |
| マイナス | プラス | プラス | 危険? 資産を売って借金で食いつないでいる |
182|実質無借金経営
■ 実質無借金経営とは
実質無借金経営とは、
借金よりも手元資金の方が多い状態を指します。
多少の借入があっても、
- 現金・預金が十分
- 営業CFが安定
であれば、
財務リスクは低いと判断できます。
不況や金利上昇局面でも耐えられる、
強い企業体質の目安です。
■ 具体例
例えば、以下のような会社があった場合:
- K社:借入20億円、現金・預金30億円
- L社:借入20億円、現金・預金5億円
K社は実質無借金(現金 > 借入)。
L社は借入が重い(現金 < 借入)。
まとめ|キャッシュフローは企業の体力テスト
キャッシュフローを見ることで、
利益だけでは分からない「会社の体力」が見えてきます。
特に重要なのは、
- 営業CFが安定してプラス
- 投資CFが将来につながっている
- 財務CFに無理がない
この3点です。
「お金の流れ」を見れば、
企業の本当の実力は隠せません。
次のステップ
キャッシュフローが理解できたら、
次は財務指標や企業分析と組み合わせて判断力を高めましょう。
CF × ROE × 財務健全性。
この視点がそろうと、投資判断は一気に安定します。
💡 なぜ私がCFを重視するのか
不動産業界で30年以上働いてきた経験から、「帳簿上の利益」と「実際のキャッシュ」の違いを何度も目にしてきました。賃貸経営も株式投資も、最後は「手元に残る現金」がすべてです。だからこそ、キャッシュフローを最重視しています。
キャッシュフローの理解が深まったら、次は企業分析の基本指標を押さえましょう。
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免責事項
本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄や投資行動を推奨するものではありません。
投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。

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