「この企業は本当に良い会社なのか?」を判断するとき、決算書にはたくさんの数字が並びます。ただ、最初から全部を追いかける必要はありません。
この記事では、“良い企業”を見抜くための7つの基本指標にしぼって、できるだけシンプルに整理しました。
- 99 ROE(稼ぐ効率)
- 100 EPS(1株利益)
- 101 BPS(1株純資産)
- 102 自己資本比率(安全性)
- 103 営業利益率(本業の競争力)
- 104 FCF(自由に使える資金)
- 105 配当性向(配当の健全さ)
企業分析の基礎を理解したら、実際に投資を始めてみるのがおすすめです。
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なお、ここで出てくる「●%以上が理想」といった目安は、業種によって変わることがあります。あくまで「一般的な目安」としてとらえてください。
99|ROE(自己資本利益率)=稼ぐ効率を見る指標
ROEは「会社が持っている自己資本(純資産)を使って、どれだけ効率よく利益を出しているか」を表す指標です。
- 数字が高いほど、限られた自己資本でしっかり稼げている
- 一般的には10%以上あると優良企業と評価されやすい
- 毎年のROEが安定して高い企業は、競争力と収益力が高いことが多い
長期投資では、「たまたま1年だけ高いROE」より、「何年も高ROEが続いている企業」の方が、総合的に強いケースが多いです。
ただし、銀行・不動産・電力・鉄道など、
業種によって適正水準は異なります。
同じ業種の企業同士で比較すると、より正確な判断ができます。
100|EPS(1株利益)=株主1人あたりの儲け
EPSは「1株あたりいくら利益を出しているか」を表す指標です。 株価は短期的には上下しますが、長期的にはこのEPSの成長に引っ張られることが多いです。
- EPSが右肩上がり=本業の利益が伸びている
- EPSが横ばい・右肩下がり=成長が鈍っている可能性
- 増配や株価上昇の“源泉”は、結局このEPSの成長
初心者が企業分析をするときは、「この会社は数年単位でEPSが伸びているか?」を見るだけでも、だいぶ判断の質が変わります。
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101|BPS(1株純資産)=会社の“土台の厚み”
BPSは「会社が解散したら、理論上1株あたりいくらの純資産が残るか」を示す指標です。いわば、企業の“土台の厚み”を見るイメージです。
- BPSがコツコツ積み上がっている企業 → 利益を内部に蓄え、財務体質が強くなっている
- ROEとBPSをセットで見ると、「どれだけ効率よく土台を厚くしているか」が分かりやすい
派手さはありませんが、長期で安定してBPSを増やせる企業は、総じて潰れにくく、株主にとって安心感のある存在になりやすいです。
102|自己資本比率=倒れにくさ(安全性)を見る指標
自己資本比率は「総資産のうち、どれだけを自前の資本(自己資本)でまかなっているか」を示す指標です。
- 高いほど、借金に頼らずに経営している=倒れにくい
- 一般的な目安としては、30%以上で良好、50%以上でかなり安全とされることが多い
- 20%を大きく割り込むような企業は、借入依存度が高く不況時のリスクも大きい
特に不況や金利上昇局面では、「どれだけ借金に頼らずに生き残れるか」が企業の明暗を分けます。長期投資では、自己資本比率の低さは無視しない方が無難です。
※ 電力・鉄道・不動産など、固定資産が大きい業種では、
自己資本比率が低めになる傾向があります。
業種の特性を理解したうえで判断しましょう。
103|営業利益率=本業の競争力を見る指標
営業利益率は「売上高のうち、本業の利益がどれくらい残っているか」を示す割合です。会社の「本業の強さ」を見るうえで欠かせません。
- 一般的に営業利益率が10%を超えている企業は、かなり強いビジネスモデルと評価されやすい
- 5%を切る水準が続くと、「価格競争がキツい」「コスト構造が重い」などの課題を抱えている可能性
- 同じ業界の他社と比べることで、その企業の競争力がハッキリ見えてくる
とくに消費者向けビジネスでは、長く高い営業利益率を維持できている企業=ファンやブランド力を持っている企業であることが多いです。
※ 小売業・製造業・IT業など、
業種によって利益率の水準は大きく異なります。
同業他社と比較することが重要です。
104|FCF(フリーキャッシュフロー)=自由に使えるお金の量
FCF(フリーキャッシュフロー)は、「会社が自由に使える現金の残り」を表す指標です。
- FCFがプラスで安定している企業 → 設備投資をしたうえで、なお現金が残っている=体力がある
- 配当・自社株買い・借金の返済などは、このFCFから賄われる
- FCFがマイナス続きの場合、
・将来に向けた大型投資の最中なのか
・本業のキャッシュ創出力が弱いのか
背景をチェックする必要がある
長期投資では、「利益」よりも「キャッシュ(現金)」を重視する考え方が主流になりつつあります。その意味でも、FCFは必ず押さえておきたい指標です。
企業分析で「良い企業」を見つけたら、次は実際に投資してみましょう。
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105|配当性向=配当の“無理のなさ”を見る指標
配当性向は「当期純利益のうち、どれだけを配当として株主に渡しているか」を示す割合です。
- 30〜50%程度 → 内部留保とのバランスも良く、配当政策として健全なことが多い
- 70%を大きく超える水準 → 利益のほとんどを配当に回しており、業績悪化時には減配リスクが高まりやすい
- 逆に配当性向が低すぎる場合は、これから増配余地があると前向きに評価できることもある
高配当株を狙うときは、配当利回りだけでなく、この配当性向もセットで確認するクセをつけておくと安心です。
「企業分析の基礎を学んだら、次は実践してみたい」という方は、
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まとめ|“良い企業”を見抜く7つの基本セット
ここまで見てきたように、
- ROE → 稼ぐ効率
- EPS → 利益の成長力
- BPS → 土台の厚み
- 自己資本比率 → 財務の安全性
- 営業利益率 → 本業の競争力
- FCF → 現金の余裕
- 配当性向 → 配当の健全さ
この7つの指標を押さえるだけで、その企業が「強い会社なのか」「無理をしていないか」「長く付き合えるか」をかなりの程度まで判断できます。
最初から全部を完璧に覚える必要はありません。まずは、 ROE(効率) EPS(成長) FCF(キャッシュの余裕) この3つを“柱”として見て、残り4つを補助的なチェックポイントとして使うイメージが現実的です。 少しずつ慣れていけば、決算書の数字が「ただの数字」から「企業のストーリー」に見えてくるようになります。 企業分析と合わせて、家計の固定費も見直すと投資資金が作りやすくなります。
【家計管理①|固定費の見直し(通信・電気・保険)】
👤 この記事を書いた人
よよみり|50代・宅建士・FP2級の現役サラリーマン
不動産業界32年、新NISA月10万円積立中。資産形成・副業・健康習慣を等身大で実践。


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