公開日:2025-11-09|執筆:よよみり
株用語シリーズ第12回は「投資戦略編①」。 これまでの“考え方”から一歩進んで、実際にどう運用するかという「戦略」を整理します。
扱うのは以下の7つのキーワードです。
- 78 ドルコスト平均法
- 79 一括投資
- 80 長期分散投資
- 81 リバランス
- 82 アセットアロケーション
- 83 バリュー投資
- 84 グロース投資
この7つを理解すれば、「なぜこの投資を選ぶのか」が明確になり、迷わず進めます。
78 ドルコスト平均法
ドルコスト平均法とは、「毎月一定額を定期的に投資し続ける」方法です。
株価が高いときは少なく、安いときは多く買う──これを繰り返すことで、平均購入単価を下げ、長期的にリスクを分散できます。
たとえば、毎月1万円を投資信託に積立すると、買う時期を分散できるため、急落局面でも“安く買える”チャンスが増えます。
感情に左右されにくく、「続ける仕組み化」ができるのが最大の利点です。
50代へのアドバイス: 新NISAの積立枠ではこの方法が基本。オルカン・S&P500などで毎月コツコツ続ければ、心理的ストレスを最小化できます。
79 一括投資
一括投資は、まとまった資金を一度に投入する方法です。 長期で見れば早く投資するほど「市場の上昇分」を多く取り込めます。
一方で、投資直後に下落すれば含み損を抱える期間が長くなるリスクがあります。
- 上昇相場 → 一括投資が有利
- 下落相場 → ドルコスト平均法が有利
最も現実的なのは、「一括+積立のハイブリッド」です。 たとえば300万円のうち100万円を一括で入れ、残り200万円を毎月積立に回す方法。
50代へのアドバイス: 退職金やボーナスの一部を「分けて入れる」発想が大切。一気に投じず、余裕資金から少しずつ市場に慣れるのが安全です。
80 長期分散投資
長期分散投資とは、「時間」と「資産」を分けて投資する考え方です。
- 長期:10〜20年以上のスパンで運用する
- 分散:複数の国・資産クラス(株・債券・REITなど)に広げる
短期の値動きに一喜一憂せず、「平均点を積み上げて勝つ」戦略です。 ダイワ投信などのデータでも、10年以上保有すると損失確率は急減すると報告されています。
50代へのアドバイス: オルカン+S&P500を組み合わせるだけで、十分な分散投資になります。新NISAで長期保有が前提なら、焦らず「時間を味方につける」姿勢を。
81 リバランス
リバランスは、資産の偏りを元に戻す作業です。
たとえば、オルカン50%・S&P500 50%で始めた運用が、数年後にS&P500が60%になった場合、S&P500を一部売ってオルカンを買うことで元のバランスに戻します。
年に1回で十分。感覚として「増えすぎたものを少し減らす」くらいが最適です。
50代へのアドバイス: 忙しい人は、NISA・iDeCo口座の割合を年1回見るだけでOK。リバランスをする習慣が、暴落時に「冷静さ」を保つコツになります。
82 アセットアロケーション
アセットアロケーションは、資産配分の設計図。 投資成果の約8割は、この配分比率で決まるとする研究(Brinson, Hood & Beebower, 1986)もあります。
例:
- 現金:30%(生活防衛資金)
- 株式:60%(オルカン・S&P500)
- 債券・REIT:10%(値動き調整)
自分の年齢・収入・リスク許容度に応じて、バランスを変えるのが理想です。
50代へのアドバイス: 「株式60・現金30・その他10」が目安。 子どもの独立や退職時期を見越し、少しずつリスクを減らす調整が大切です。
83 バリュー投資
バリュー投資は、企業価値に対して株価が安い会社を選ぶ手法です。 ウォーレン・バフェット氏が実践する戦略として有名。
- 割安株を買い、長期で保有する
- PER(株価収益率)やPBR(純資産倍率)を指標に判断
成長性は控えめでも、配当や安定性を重視する投資家に向いています。
50代へのアドバイス: 日本の高配当株(JT・三菱HC・商社株など)はバリュー要素が強く、年金感覚で保有しやすい。 ただし集中投資は避け、ETF(高配当ETFなど)で分散を。
84 グロース投資
グロース投資は、将来の成長が期待される企業に投資する方法。 利益よりも「成長性」を重視します。
- 例:IT・AI・ヘルスケア・再生可能エネルギー
- 株価のボラティリティ(変動幅)が大きい
リスクは高いものの、長期的に市場平均を上回ることもあります。 一方で、期待が外れた場合は大きく下落するリスクも伴います。
50代へのアドバイス: グロース株は全体の10〜20%以内が理想。 基本はオルカンやS&P500を軸にして、米国テック株などを少額で楽しむ程度が安全です。
投資戦略7つの使い分け
- 買うタイミング: ドルコスト平均法/一括投資
- 期間・分散: 長期分散投資/アセットアロケーション
- 調整方法: リバランス
- 銘柄選択: バリュー投資/グロース投資
この7つを理解すれば、 「いつ・何を・どれくらい買うか」という全体像が明確になります。
まとめ|「やり方」を決めれば迷わない
- 積立投資(ドルコスト平均法)で継続力を確保
- 長期分散+年1回のリバランスで安定運用
- アセット配分を意識して全体を最適化
- バリュー・グロースは目的に応じて少額で
投資の本質は「習慣化」と「バランス管理」。 手法を理解すれば、誰でも自分のスタイルを作れます。
関連記事
※本記事は投資の一般的な考え方を解説したものであり、特定の銘柄・金融商品の売買を推奨するものではありません。最終的な判断はご自身の責任でお願いいたします。

コメント