【宅建士が本音で語る】50代の不動産投資は慎重に|REITという選択肢

50代不動産投資慎重 REIT/不動産投資

公開日:2025-11-03|執筆:よよみり(宅建士・不動産会社勤務)

「50代から不動産投資を始めたい」――そんな相談を受けることがある。

不動産会社に勤務し、宅建士として多くの投資家を見てきた立場から、本音を言う。50代の不動産投資は、かなりハードルが高い。

誤解してほしくないのは、不動産投資そのものを否定しているわけではない。実際、成功している投資家もいる。

ただし、50代から始めるにはリスクが大きすぎる。時間・融資・管理の3つの壁が立ちはだかる。

この記事では、実務で見た現実を踏まえて、なぜ50代には不動産投資よりREITを推奨するのかを解説する。


結論|50代ならREITのほうが現実的

私の考え

  • 不動産投資は20〜30代なら挑戦する価値あり
  • 50代は時間・融資・管理の3つの壁が高い
  • 成功している人もいるが、再現性が低い
  • 50代ならREITのほうが合理的
  • 少額・分散・手間なし。REITが50代の正解

不動産投資で成功している人の共通点

まず、不動産投資で成功している人も確かにいる。否定はしない。

実務で見た成功例の共通点は以下の3つだ。

① 若い世代(20〜30代)で始めた

時間があるため、空室・修繕リスクを吸収できる。融資期間も長く取れる。

② 十分な自己資金がある

物件価格の5割以上の自己資金を投入。融資依存度が低いため、キャッシュフローが安定。

③ 不動産の知識と経験がある

業界経験者、または数年かけて勉強した人。物件選びの目利きができる。

成功例:30代で始めた投資家
32歳の会社員。自己資金1,000万円で区分マンション(築10年、2,000万円)を購入。駅徒歩3分の好立地で空室リスクが低い。20年後に完済し、家賃収入が老後資金に。時間を味方につけた成功例。

ただし、50代でこの条件を満たすのは難しい。特に「時間」は取り戻せない。

50代が直面する3つの壁

壁① 時間が足りない

不動産投資は長期戦だ。リスクを回収するには最低15〜20年必要。

50歳で始めても、70歳までしか時間がない。空室・修繕・金利上昇のリスクを吸収する余裕がない。

壁② 融資期間が短い

完済年齢の上限は75〜80歳。50歳なら最長25〜30年のローンが限界。

融資期間が短い=月々の返済額が高い=キャッシュフローが悪化する。

借入額金利返済期間月々返済額
2,000万円2.0%35年約6.6万円
2,000万円2.0%25年約8.5万円

※50歳で借りると、返済額が月2万円も高くなる。

壁③ 管理の手間が将来の負担になる

60代・70代になったとき、管理の手間に耐えられるか?

  • 入居者トラブル対応
  • 設備故障の対応
  • 空室時の入居者募集
  • 確定申告

管理会社に委託すれば手間は減るが、手数料で利益が大幅減

実務で見た50代の失敗パターン

成功例もある一方、失敗例のほうが圧倒的に多い。典型的なパターンを紹介する。

失敗例① 高利回りの地方物件で大損

年齢:55歳、職業:会社員

「利回り12%!」という地方の一棟アパート(築25年、2,500万円)を購入。

結果:入居率が50%に低下。修繕費もかさみ、3年後に売却。売却損800万円。

教訓:表面利回りの高さに騙されない。地方物件は空室リスクが高い。

失敗例② 新築ワンルームマンションの罠

年齢:52歳、職業:会社員

営業マンの「節税になりますよ」という言葉を信じ、新築ワンルームマンション(2,800万円)を購入。

結果:家賃収入9万円、返済額12万円。毎月3万円の赤字。売却しようにもローン残債より安く、売るに売れない。

教訓:新築ワンルームは割高。営業トークに騙されない。

失敗例③ サブリース契約の落とし穴

年齢:58歳、職業:自営業

「30年家賃保証」という甘い言葉に釣られ、サブリース契約でアパート(3,500万円)を購入。

結果:5年後に「家賃を下げる」と通告される。拒否すると「契約解除」と脅される。家賃が2割減額。返済が赤字転落。

教訓:サブリースは業者有利の契約。30年保証は嘘。

50代が選ぶべきはREIT(不動産投資信託)

現物不動産投資のリスクを考えると、50代ならREITのほうが現実的だ。

REITとは

複数の不動産を運用する投資信託。株式のように少額から購入でき、配当金を受け取れる。

比較項目現物不動産REIT
初期費用500万円〜数万円〜
管理の手間大きいなし
空室リスク高い分散で低減
売却時間がかかる即日可能
利回り3〜5%3〜4%

私が実際に保有しているREIT銘柄

ここでは、私自身が実際に保有しているREITを紹介します。あくまで個人の運用例であり、特定の銘柄を推奨するものではありません。

銘柄名証券コード保有方法投資対象評価損益(概算)
NFJ-REIT(NEXT FUNDS 東証REIT指数連動型上場投信)1343現物株式(楽天証券)国内REIT指数に連動+約19.6%
eMAXIS Slim 国内リートインデックス投資信託(SBI証券)国内REITに分散投資+約25,000円
Smart-i 先進国リートインデックス投資信託(SBI証券)海外REIT(米国・欧州中心)+約36,000円

私は楽天証券とSBI証券の2口座で運用しています。国内REITと海外REITの両方に分散し、「管理の手間なし・配当あり・分散効果」というREITのメリットを実感しています。

運用のポイント

  • 楽天証券では「NFJ-REIT」を50株現物保有
  • SBI証券では「eMAXIS Slim 国内リート」と「Smart-i 先進国リート」を
  • 配当金は再投資に回し、長期保有を基本に運用

※データは2025年11月3日時点。利回りや評価額は将来を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。

REITのメリット

  • 少額(数万円)から始められる
  • 管理の手間がゼロ
  • 複数の不動産に分散投資
  • いつでも売却できる(流動性が高い)
  • 配当利回りは年3〜4%
  • 新NISAで非課税投資も可能

REITのデメリット

  • 元本保証なし(価格変動リスク)
  • 現物不動産ほどの節税効果はない

それでも、50代にはREITのほうが合理的だ。時間・融資・管理の3つの壁を考えれば、REITが最適解。

すでに不動産投資をしている方へ

この記事は「これから始める50代」向けの注意喚起です。

すでに不動産投資をしている方を否定するものではありません。

成功している投資家の方々は、物件選び・資金管理・リスク管理がしっかりできています。そのまま継続して、資産形成を進めてください。

むしろ、経験者の知見は貴重です。これから始める方へのアドバイスをお願いしたいくらいです。

まとめ

  • 不動産投資そのものは否定しない。成功している人もいる。
  • ただし、50代から始めるには時間・融資・管理の3つの壁が高い
  • 20〜30代なら挑戦する価値あり。時間を味方につけられる。
  • 50代は失敗例のほうが圧倒的に多い
  • 50代ならREITのほうが現実的
  • 少額・分散・手間なし。REITが50代の正解
  • 新NISA+REITで非課税投資も可能

不動産業界の人間として、本音を伝えた。50代の選択肢として、REITを検討してほしい。

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※本記事は筆者の個人的見解であり、特定の投資を推奨・否定するものではありません。すでに不動産投資をしている方を否定する意図はありません。投資判断は自己責任でお願いします。

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