📘 株用語入門⑪|投資家心理編②まとめ【投資はメンタル戦】

株用語11 株用語入門

投資で成果を上げるうえで最も難しいのは、「知識」よりも「心のコントロール」です。
この記事では、投資家心理の中でも特に重要な7つの用語をわかりやすく解説。
感情に流されず、自分のルールで行動するためのヒントを学びましょう。


71 含み益・含み損(ふくみえき・ふくみぞん)

「含み益・含み損」とは、まだ売却していない資産に発生している“未確定の利益・損失”のことです。
たとえば、100万円で買った株が現在120万円になっていれば「含み益20万円」、逆に80万円なら「含み損20万円」。
この段階ではあくまで“評価上の損益”であり、売却して初めて実際の利益や損失が確定します。

初心者が最もメンタルを揺さぶられるのが、この「含み損」。
人は損失に強く反応する「損失回避の心理(loss aversion)」を持っており、評価損を見るだけで焦りや後悔を感じやすくなります。
しかし、含み損はあくまで途中経過であり、失敗を意味するものではありません。
長期投資では上下を繰り返しながら成長していくのが自然。
「なぜその銘柄を買ったのか」「どれくらいの期間で保有するのか」を明確にしておくことで、短期的な値動きに振り回されなくなります。

💡ワンポイント:
含み損が気になって仕方ない人は、株価チェックを「週1回」に限定するのも効果的です。
見すぎるほど感情が反応します。心を守るのも立派な投資スキルです。


72 リスク許容度(りすくきょようど)

「リスク許容度」とは、自分がどの程度の損失を受け入れられるか──つまり“心の余裕度”を数値化した考え方です。
投資経験、年齢、収入、資産総額、家族構成、目的期間などによって大きく変わります。

たとえば、
・独身で安定収入がある人 → リスク許容度「高め」
・子どもの教育費がかかる50代 → リスク許容度「低め」
このように「守るべき生活」と「増やす目的」のバランスで判断します。

重要なのは、リスクを“取るか・取らないか”ではなく、「自分に合ったリスク量を取る」こと。
許容度を超える投資をしてしまうと、相場が下がったときに不安で夜も眠れなくなります。
逆に、リスクを取りすぎずに安定的に続けられる状態こそ、長期的に最も成果を出すスタイルです。

💡ワンポイント:
「1年以内に20%下がっても平常心でいられるか?」と自問してみましょう。
答えがNOなら、今のリスクはあなたにとって“過剰”です。


73 ポジポジ病

「ポジポジ病」とは、常にポジション(株や投信)を持っていないと落ち着かない心理状態のこと。
取引そのものが目的化し、冷静な判断を失っていく典型的な心理バイアスです。
行動経済学では「過剰トレード(overtrading)」とも呼ばれます。

ポジポジ病にかかると、相場が動かなくても何かしら売買をしてしまい、結果的に手数料やタイミングミスで損をします。
本来は「チャンスが来るまで待つ」ことが重要。
“待つ勇気”も投資力の一部です。

💡ワンポイント:
1週間で取引回数が3回を超えていたら、少しポジポジ気味かも。
チャートではなく、心拍数を見直すタイミングです。


74 長期投資の忍耐

投資は「時間を味方につけるゲーム」です。
長期投資では、数カ月単位の値動きは誤差であり、年単位での成長を見守る姿勢が求められます。

一時的な下落で焦って売ってしまうのは、最も避けたい行動。
特に50代以降は、心理的な焦りが強く出やすい年代でもあります。
そこで大切なのは、「いつ売るか」より「なぜ持ち続けるか」を自分の中で明確にしておくことです。

長期で見れば、株式市場は右肩上がりのトレンドを続けてきました。
短期の波に揺れるより、時間と複利を味方につける忍耐こそがリターンを最大化します。

💡ワンポイント:
株価アプリを毎日開くより、「年2回の振り返り」で十分です。
“動かないこと”が、実は最も賢い選択です。


75 損切り(そんぎり)

「損切り」とは、含み損が一定額に達した時点で売却し、損失を最小限に抑える行動のこと。
誰にとっても苦痛を伴う判断ですが、長く生き残るためには避けて通れません。

投資家が損切りをためらうのは、「損を確定する=負けを認める」ことが怖いからです。
しかし、実際には“小さく負けて、大きく勝つ”のがプロの基本。
損切りは「撤退」ではなく「資金を守るための戦略」なのです。

具体的には、購入時点で「損切りライン」を決めておくことがポイント。
ルールに従って淡々と処理すれば、感情に左右されず安定した投資判断ができます。

💡ワンポイント:
損切りラインの目安は「購入額の5〜10%」。
自動で注文できる「逆指値注文」を活用すれば、心理的負担を減らせます。


76 感情のコントロール

相場では「恐怖」「欲望」「焦り」という3つの感情が常に試されます。
この3つをどう扱うかで、投資の成果が大きく変わります。

感情を抑えるための具体的な方法は、「ルールを文字にしておく」こと。
たとえば、次のようなチェックリストを作ると効果的です。

  • 購入理由を書き出す(例:長期保有目的、配当利回り3%以上など)
  • 売却条件を明確にする(例:10%上昇または決算悪化時)
  • 判断に迷ったら24時間置く

書き出すことで「感情」ではなく「ルール」で動けるようになります。
自分の投資を“再現性あるプロセス”に変える意識を持ちましょう。


77 メンタルリセット

投資は「勝ち続けるゲーム」ではなく、「続けられるゲーム」です。
損を出した日があっても、それを引きずらずリセットできる人が最終的に勝ちます。

負けたときこそ、「なぜ負けたか」を冷静に振り返るチャンス。
感情的にならず、「分析 → 修正 → 再挑戦」のサイクルを回すことで、投資の精度は確実に上がります。

💡ワンポイント:
取引記録をつけると、感情を客観的に見つめ直せます。
数字だけでなく「気分」も書き残すのがおすすめです。


📊 投資は“心理戦”である

どれだけ知識を増やしても、最終的に結果を左右するのはメンタルです。
焦らず、比べず、続ける──この3つを守れる人が、10年後も笑顔で投資を続けています。
「心の安定」こそ最大の資産。 今日から少しずつ鍛えていきましょう。


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※本記事は一般的な投資知識の紹介を目的としています。投資判断は自己責任でお願いいたします。

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